「それじゃ、さようなら。」
そう一言、いうのが精一杯で彼の顔を見つめた。
(笑わなくちゃ。)
そして、力を振り絞って笑顔をつくる。
車を出ようとしたその時、彼が腕をつかんだ。
「ちょっとまって。」
その瞬間、彼の腕の中に抱き寄せられる。
「待たせて・・・ごめん。」
「結婚しよう。」
一瞬、何を言ったのか分からなくて聞き返す。
「・・え?」
「結婚しよう。」
その言葉を確認した途端、涙があふれて止まらなくなった。
そして、肩におでこをつけたまま
「はい。」
と、返事をした。
それから一ヶ月がたった。
結婚を決めたことで、彼の心に大胆さが生まれたのか、ほぼ毎日連絡を取り、二日に一回は会うようになった。
それなのに、まだ肝心の指輪をもらってない!
この人、ホントにドンくさい。
イライラして、それも結局私から切り出した。
女からは絶対に言わないと決めていたのに。
「私、婚約指輪が欲しいんだけど・・・。」
切り出すのもひと苦労だ。
「あ、そっか! それは買うから大丈夫。」
(何が大丈夫よ! もう、ホントにおバカさんで、あきれる。)
これからも、ずっとこんなことが続くのだろう。
でも、私はそんな彼に振り回されて、そしてヤキモキしながら幸せを感じ続けるのだろう、と確信をしている。
Fin
結婚物語第3部は現在、取材〜編集中です。
完成は8月下旬頃を予定しております。
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→第2部 【メールを待ち続けて】 を最初から読む
→第1部 【運命の人】 を最初から読む
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